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2016.05.24  Bali
バリ舞踊 2013年バリ芸術祭動画
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スタジオJukingメンバーの皆さんの参考になるように、

過去のバリ舞踊の動画をアップしていこうと思います。

 

2013年芸術祭の動画 ojeg

2013年バリ芸術祭 前日最終練習の様子(動画)

 

2013年夏。

私にとって2度目の芸術祭。

(バリ芸術祭はPesta Kesenian Baliの頭文字をとり通称PKB⇨しかもインドネシア語読みでペー・カー・ベーと言います)

 

もしバリのPKBの舞台で、

ガムランのフルセットとあの独特の緊張感の中でオレッグが踊れたら、

私のバリ舞踊人生はもうお終いにしても良いかも、

とぼんやりと思い描くぐらいの夢だった演目。

それを踊ることになった2013年の夏。

女性舞踊の美しさが全て詰まった、とてもハードルの高いオレッグ タムリリンガン、

ずっとずっとずーーーーっと踊りたいと思っていた憧れの演目です。

 

約9分間女性のソロの踊りがあり、その後ラキ(男性役)が登場し、

とてもロマンチックな駆け引きを繰り返す求愛の踊りです。

 

ラキ役のダンサーは、アメリカ人のAri君。バリに留学中の舞踏のダンサーでした。

私よりも10歳も年下の25歳で、

しかもドレッドに顎ビアスという美しくもファンキーなAri君と、

イブ(私の師匠です)のお家で初めて会って、

「もえちゃんのパサンガン(相手役という意味です)よ!」とイブに紹介された時、

コンマ3秒くらい「!?!」とバグっていたと思います。私。

 

 

いい人そうだけど、若いし、絶対に共通の話題もないし、

絶対仲良くなれない、と勝手に思ってしまった35歳、私。

Ari君ごめん!!!

 

 

でも、最初の練習、2回目の練習、3回目、4回目…と、

本番へ向けて、毎日独特の緊張感が増す中で、オレッグという踊りを通して、

パサンガンにしかできない会話が生まれたと思います。

 

 

PKBに向けての練習は、日中の師匠宅での練習と、

夜のガムランチームとの合わせ練習の1日2回。

 

お互いが歩み寄りながら、同じものを目指そうとする、

かけがえのない美しい時間でした。

 

 

最初は、お互いバリと日本で自分のパートを個人練習してきたものの、すり合わせ。

ここはこんな呼吸で、こんな音の取り方をするんだな、って具合に。

そして、いつからか手にとるように気持ちがが合わさってきたのが分かりました。

 

 

本番までの約1週間。

私は、夢だったオレッグをバリで踊るという、幸福な重圧に溢れた毎日でした。

 

毎日、毎朝、毎夜、オレッグのことばかりを考え、

凹み、自信をなくして、できないことが悔しくて悔しくて、

そしてある瞬間光が見えて、少しだけ自分の思い描いたイメージに近づき、

また凹み、自信をなくし、練習して、練習して、練習して、またふわっと希望が降りてくる。

 

そんな踊り漬けの毎日。

とてもとても濃密で、日常とは全く違う時間軸。

不安と、緊張感にあふれた非日常の時間。

だけど、それは必死であればあるほど、一生懸命であればあるほど、

今を生きているという実感にあふれた美しい時間でした。

 

 

そして迎えた、最後の合同練習。

もちろん、もっともっと!と思うし、できなかったことは山のようにあるけど、

限られた時間の中で、自分の持てるものを全て踊りというピークに持っていく、

すごく手応えのようなものを感じた時間でした。

 

 

そして、もう明日の夜にはみんないつもの日常に戻って、同じ夜は2度と来ない。

あの場所にいたプナリ(踊り手)とプナブ(演奏者)、きっとみんながそう思っていたと思う。

 

同じ時間を共有した、あの時の思いや本番前夜の緊張感、

寂しさが全て合わさった踊り。

画像が悪いですが、私の中では本番よりも大切な動画です。

 

 

本番の前。

自分の出番の前、ガムランの音が鳴り響き、割れ幕が開いて舞台に出る前は、

全身が心臓になったかのような独特の感覚を味わう。

それは、思い入れが強ければ強いほど、大きく、息ができないほど。

全身に血が巡っているのを感じて、あの緊張感を味わうたびにあぁPKBだなぁと思う。

そして、今を生きているという、表現できない高揚感に満たされる。

 

あんなに練習したのに、

やっぱり本番は魔物で、

練習でできたこと、自分が思った踊りの半分くらいしかできなかったなと悔しくて、

でもビデオを見たら、思ったよりは良かったかな…って少し気持ちが持ち直したり。

とにかく、反省点がいっぱい。やり直したいことだらけ。

だけど、これがPKBだし、自分の今の踊りなんだと思いました。

だからこそ、練習がいかに大切かってすごく思う。

いかに平常心で1年で1番緊張する瞬間を迎えるかを学ぶ機会だと思います。

 

 

ほろ苦い夢の実現でしたが、

あの大観衆の中オレッグを踊ったこと、

何より、その本番を迎えるまでの私の踊りの時間は、今でも私の宝物です。

 

 

師匠との時間、Ari君との練習、そして踊りの先輩方や仲間との時間、

頭の中に鳴り響くガムラン、

練習の合間にコーヒーを飲んだこと、泣きそうなくらい緊張したこと、

汗びっしょりになってみた暑い暑いバリの14時の木漏れ日が綺麗だったこと、

夜の合わせ練習の独特の緊張感、互いの踊りを見守るみんな、

そんな時間の積み重ねが私の2013年のPKBだったなと思います。

 

 

image

 

そんな時間は、何年経っても色褪せることなく、

むしろ鮮やかになっていって、勝山に暮らし替えをして、小さなカフェとスタジオを営む私を勇気付けてくれます。